2013年1月24日木曜日

リスク・リバーサルについて

今日、なんとなく為替のリスク・リバーサルを見ていたのですが、確かデルタが0.25だったと思うのですが、5年くらいまではプラス、それより長いとマイナスなんですね。もともと見たかったのはボラティリティのターム・ストラクチャーだったのですが、短いところのリスク・リバーサルがプラスになったのはここ最近のことであって、なんとなく興味があったのでついふむふむと思ってしまいました。

ちなみに、リスク・リバーサルというのは、要するに、コールを買いたい人とプットを買いたい人のどっちが多い(優勢)かという話であって、オプションを保険だと考えると、コールを買う=円安への備え、プットを買う=円高への備え、ですから、日本は一般的に輸出国ですからプット優勢のはずなのですが、最近はコール・オプションのほうが価格が高くなっているわけです。円高リスクをヘッジする人よりも円安リスクをヘッジする人のほうが多い、別の言いかたをすると、市場はドル高のほうにバイアスがかかっているということが言えるのです。ただし、短期ではという話であって、長期では引き続き円高のヘッジのほうが優勢ということなのでしょう。

ちなみに、ボラティリティのターム・ストラクチャーを見ていた理由は、結局、日本でいちばん取引されている通貨オプションというのはシンセティック・フォワードの形であって、シンセティック・フォワードの正確な評価には、ボラティリティのターム・ストラクチャーが不可欠だからです。たとえば、期間5年で行使(=円と外貨の交換)が毎月というシンセティック・フォワードでは、期間が1か月から60か月の60パターンあり、各期間に対応したボラティリティと用いなければ正確ではありません。しかも、たいていの場合はノック・アウト条項が付いているため一層複雑になるわけです。

このように考えると、実は、モンテカルロ・シミュレーションができても完璧ではないことに気付くでしょう。モンテカルロ・シミュレーションは一般的には期間にかかわらず同じボラティリティを用いますが、市場が正しい、つまり、インプライド・ボラティリティを用いることが適切なのだとすると、相当複雑なモデルにしないといけないわけです。

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